職種選びと職場環境の確認方法を解説
この記事のポイント
- 建設業で女性が少ないのは事実だが、「働きやすい会社」と「そうでない会社」の差がどんどん開いている
- 職種選びでは「現場系(施工管理・職人)」と「オフィス系(設計・事務など)」で求められるものが違う
- 不安を減らすには、「職場環境(設備・制度・文化)」を求人票だけでなく公的データや会社の情報から確認することが大切
今日のおさらい:要点3つ
- 建設業全体の女性比率は18.2%で、まだ少数派だが、技術者・技能者における女性比率は増加傾向にあり、国も企業も本気で女性活躍を推し進めている
- 職種は「施工管理(人と段取り重視)」「設計・積算(思考力重視)」「事務(生活重視)」と異なり、自分の性格や体力に合わせて選ぶことが重要
- 設備面(トイレ・更衣室)、制度面(育休・時短)、文化面(ハラスメント対策)を求人票だけでなく質問で確認し、本気で取り組む会社を見極めること
この記事の結論
一言で言うと「建設業でも、会社と職種をきちんと選べば、女性が長く安心して働ける環境は十分にあります」。
最も重要なのは、「女性比率だけ」で判断せず、「設備(トイレ・更衣室)」「制度(育休・時短)」「文化(ハラスメント・働き方)」の3つをセットで見ることです。
失敗しないためには、「現場のリアルも理解しながら、自分の体力・価値観に合う職種(施工管理か設計か事務か)を選び、その職種で女性のロールモデルがいる会社」を選ぶことです。
建設業で女性が働く現状をまず整理する
一言で言うと「まだ少ないけれど、確実に増えている」
厚生労働省や業界団体のデータを見ると、建設業で働く女性の割合はここ数年で少しずつ増えています。
建設業における女性就業者数は、2018年以降80万人台で推移し、2024年は約87万人です。建設業全体の女性比率は18.2%で、まだ少数派ですが、2013年以降は上昇傾向が続いています。
職種別に見ると、以下のようなデータがあります。
- 技術者(施工管理など)における女性比率は約8%前後
- 技能者(職人)は約2~3%とまだ少ない
- 一方で、事務系職種では女性比率が70%を超える職場もあります
正直なところ、数字だけ見れば「女性が多い業界」とは言えません。でも、どのレポートにも共通しているのは、「人手不足を背景に、女性の活躍を本気で増やそうとしている」という文脈です。
建設業界に関わる中で、10年前には見かけなかった「現場女子特集」「女性技術者インタビュー」が、いまは当たり前のように企業サイトや業界誌に増えているのを実感しています。
「現場女子」の実態と変化
最近は「現場女子」という言葉もよく聞くようになりました。これは、建設現場で働く女性技能者・技術者を指すことが多いです。
実態としては、以下の通りです。
- 技術者(施工管理)における女性は約3万人程度で、全体の約8%
- 技能者(職人)の女性は約6万人で、全体の約2.3%とまだかなり少数派
- ただし、2012年と比べると女性技能者は約1万人増加し、比率も0.5ポイント上昇しています
正直なところ、「女性がたくさんいる」環境ではまだありません。現場に入ったときも、女性の施工管理はチームに1人いるかどうか、という感じでした。それでも、その1人がいるのといないのとでは、現場の雰囲気や会話のトーンが変わるのを何度も目にしました。
「男性が多い世界だからこそ、女性の視点が必要とされている」というのは、現場の空気としても感じるところです。
職場環境の整備も”ハードとソフト”両方で進行中
建設業における女性活躍推進の課題は、以下の2つに分けられます。
ハード面:トイレ・更衣室・休憩室などの設備が整っていない
ソフト面:育休・時短・ハラスメント対策などの制度・文化が十分でない
国土交通省の調査によると、以下のデータが報告されています。
- 「会社に女性専用トイレを設置している」建設企業は74.3%
- 「女性専用更衣室を設置している」のは53.8%
- 「女性に適した安全保護具を用意している」のは27.4%
「ある程度進んでいるが、まだ十分とは言えない」状況です。
一方で、国交省や地方整備局は「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」や「女性定着促進に関する実態調査とガイドライン」などを通じて、快適トイレの設置、長時間労働の縮減、ハラスメント対策などを強く打ち出しています。
正直なところ、会社や現場ごとの差はまだ大きいですが、「何も考えていない会社」と「本気で変えようとしている会社」がはっきり分かれ始めているフェーズです。
女性が選びやすい建設業の職種と、それぞれの特徴
一言で言うと「現場×オフィス×ハイブリッド」で考える
建設業で女性が選べる職種は、ざっくり分けると次の3タイプです。
現場寄り(外での仕事が多い)
- 施工管理(現場監督)
- 現場職人(大工・設備工・電工など)
オフィス寄り(内勤が多い)
- 設計(意匠・構造・設備)
- 積算・CADオペレーター
- 総務・経理・営業事務
ハイブリッド(現場とオフィス両方)
- 改修・建物診断・リニューアル系の技術者
- 営業+技術(技術営業)
建設業における女性定着の調査では、事務系は女性比率が38%と高い一方で、技術者・技能者における女性割合はいずれも1割以下という結果が出ています。
正直なところ、「どの職種でもウェルカム」という状況ではありません。だからこそ、自分の体力・性格・将来像に合わせて、職種を選ぶ視点が重要になります。
施工管理(現場監督)は「人と段取りが好き」なら選択肢に入る
施工管理は、「現場で安全・品質・工程・原価を管理する」仕事です。主な役割は以下の通りです。
- 現場に毎日出て職人さんと話す
- 図面を見ながら工程を組む
- 安全・品質のチェックを行う
女性比率はまだ少ないですが、国交省の調査では「技術者の採用に占める女性割合が20%程度まで上がっている」との報告もあり、若手技術者の中では女性の存在感が高まりつつあります。
メリット:
- 現場の中心でプロジェクトに関わる達成感がある
- キャリアアップにつながる資格(施工管理技士など)と相性が良い
- 現場経験を活かして、将来は設計や積算・本社管理職への道も開ける
デメリット:
- 屋外・高所・悪天候など、環境はどうしても厳しい時がある
- 早朝出勤・残業が発生しやすい時期もある
- まだ「女性が少数派」の現場も多い
見てきた女性施工管理の方々は、「正直なところ、最初は”自分にできるのかな”と半信半疑でした。でも、図面が形になるのを見ていると、やめたくなくなるんです。」と話していました。「人と話すのが嫌いではない」「現場の空気感が苦手ではない」人なら、十分選択肢に入る職種です。
設計・積算・建物診断は「長く続けやすい技術職」
設計(意匠・構造・設備)、積算、建物診断・改修は、オフィスワーク寄りの技術職です。主な業務は以下の通りです。
- 図面を描く・チェックする
- コストを見積もる
- 既存建物の状態を調査し、補修・改修案を考える
「考えること・つくること」が中心になります。
国勢調査の分析では、総務・経理・人事などの事務職種は女性比71~88%と女性が多数派である一方、技術系・技能系職種では女性比は数%と少ないというデータがあります。
ただ、設計や積算のような「デスクワーク比重の高い技術職」は、ワークライフバランスの観点からも女性が選びやすい領域として注目されています。
メリット:
- 天候や季節による体力的負荷が少ない
- 育児との両立や在宅勤務との相性が良い(会社による)
- 専門スキルを高めやすく、長期的にキャリアを積みやすい
デメリット:
- 納期前は残業が増えやすい
- お客様・現場との調整が必要な場合もあり、完全な「内勤」ではないことも
- 経験と資格(建築士など)を取るまでは覚えることが非常に多い
現場経験を経て設計に移った女性は、「実は、現場での数年があったからこそ、今図面を描くときに”ここで職人さんが苦労するな”と分かるようになった」と言っていました。「いきなり設計」と「いったん現場を見てから設計」、どちらのルートもありますが、いずれにせよ”長く続けやすい技術職”として候補になります。
事務・総務・経理などは「建設に関わりたいけれど現場は不安」な人向け
事務職・総務・経理・営業事務などは、建設業の中でも女性比率が高い職種です。
メリット:
- 土日休み・定時退社など、生活リズムを整えやすい
- 現場に直接出ないため、体力面の負荷が小さい
- 建設業の”裏側”を支える存在として、職場の中心で働きやすい
デメリット:
- 施工管理や設計に比べると、建設技術そのものの習得機会は少ない
- 給与レンジやキャリアの広がりが、技術系に比べて限定される場合もある
「建設業に関わりたいけれど、現場に立つイメージはまだ湧かない」という段階であれば、まず事務系で”建設の空気”に触れてから、希望があれば技術職にチャレンジするというルートもありえます。
女性が建設業で働くときの”職場環境チェックポイント”
設備面|トイレ・更衣室・休憩スペースは軽く見ないでいい
女性が建設業で働きやすさを感じるかどうかは、「トイレ・更衣室・休憩スペース」の整備状況に大きく影響されます。
建設現場で女性が少ない理由の一つとして、以下の点が挙げられています。
- 女性専用トイレ・更衣室がない
- 男女共用トイレしかなく、使いづらい
- 休憩室が狭く、着替えや休息に気を遣う
国交省の調査でも、女性専用トイレを設置している企業は74.3%、女性専用更衣室は53.8%と、まだ十分ではない実態が示されています。
説明会や面接で、以下のような質問をしてみると、その会社の本気度が見えてきます。
- 「現場に女性専用トイレや更衣室はありますか?」
- 「女性が働く現場で、設備面で工夫していることはありますか?」
制度面|育休・時短・柔軟な働き方の有無
建設業における女性定着の最大の課題は、「仕事と育児・介護の両立」です。
課題として指摘されているのは、以下の点です。
- 産休・育休制度はあっても、実際に使える雰囲気がない
- 時短勤務やフレックスが現場職では導入されていない
- 復職時のサポートが不十分
対策として、建設企業向けのガイドラインでは、以下が推奨されています。
- フレックスタイム制や短時間勤務の導入
- 復職支援やメンター制度
- 託児施設の整備や育児との両立支援
求人票や会社HP、説明会で、以下に触れている会社は、女性定着に本気で取り組んでいる可能性が高いです。
- 「過去3年間の育休取得実績(男女別)」
- 「育休からの復職率」
- 「時短勤務・フレックス・在宅勤務の対象職種」
文化・風土|ハラスメント・長時間労働への姿勢
建設業に限りませんが、「職場の空気」が働きやすさを左右します。建設業向けの女性活躍記事では、以下が女性の定着に不可欠だとされています。
- ハラスメント防止の研修
- 相談窓口の設置
- 上司やベテラン層の意識改革
また、長時間労働の是正に関する国交省の「働き方改革」の方針に対応し、以下に取り組む企業も増えています。
- 36協定の適正化
- 週休2日工事の推進
- 残業時間の見える化
説明会や面接で、以下のような質問を投げてみると、会社の”本音”が見えやすくなります。
- 「女性の技術者や管理職はどのくらいいますか?」
- 「ハラスメント防止や相談体制について教えてください」
- 「長時間労働削減に向けて、どんな取り組みをしていますか?」
よくある質問
Q1:建設業で女性は本当に少ないのですか?
A:全体の女性比率は18.2%程度で、他業界に比べると少数派です。ただ、技術者・技能者に占める女性割合は増加傾向にあり、国も企業も女性活躍を強く後押ししています。
Q2:女性に向いている建設業の職種は何ですか?
A:施工管理・設計・積算・建物診断・事務など、体力負荷や働き方の希望に応じて選べます。「人と段取りが好き」なら施工管理、「考えるのが好き」なら設計・積算、「生活重視」なら事務系が候補になります。
Q3:現場のトイレや更衣室が不安です…。
A:国交省の調査では、女性専用トイレがある会社が74.3%、専用更衣室は53.8%とされています。求人票だけでなく、説明会や面接で「設備面」を具体的に確認するのがおすすめです。
Q4:育休や時短勤務は実際に使えますか?
A:制度はあっても「使いづらい」会社もあります。「女性の育休取得人数」「復職率」「時短勤務の利用者数」などを質問すると、実際の使われ方が見えます。
Q5:男性が多い職場で、人間関係が不安です。
A:ハラスメント対策やメンター制度の有無が重要です。「相談窓口があるか」「ハラスメント研修を年何回実施しているか」を確認しておくと安心度が違います。
Q6:体力に自信がなくても大丈夫ですか?
A:現場系の仕事は体力負荷がありますが、設計・積算・事務など負荷の低い職種もあります。また、最近は女性向けの安全保護具や空調服の整備など、負担軽減の取り組みも進んでいます。
Q7:女性で建設業に入っても、長く働けるでしょうか?
A:国交省の調査では、女性技術者・技能者は増加傾向にある一方、離職率の高さも課題とされています。長く働くためには、「設備」「制度」「文化」の3つが整った会社を選ぶことが何より重要です。
まとめ
建設業で働く女性はまだ少数派ですが、女性比率は18%前後まで上昇し、技術者・技能者もじわじわ増えています。女性が建設業で安心して働くには、「職種(施工管理・設計・事務など)」と「会社(設備・制度・文化)」の両方を慎重に選ぶ必要があります。
設備面(トイレ・更衣室・休憩室)、制度面(育休・時短・フレックス)、文化面(ハラスメント対策・長時間労働の是正)を求人票だけでなく質問で確認することが大切です。
国や業界は、女性専用設備の整備や働き方改革、女性定着促進のガイドラインなどを通じて、環境改善に本気で取り組んでいます。このような動きを背景に、女性が長く安心して働ける建設企業は確実に増えています。
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